看護師定着と売上獲得を叶えるための組織づくり―理論に基づく訪問看護経営(6)

2022.10.04
2022.10.06
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前回までの3回を通して、従業員満足と利益の獲得を同時に達成するサービスプロフィットチェーンを実現するための「採用」について説明をしてきました。これは自社の目指す方向性や目的に合う人材を獲得するというステップです。

今回は、こうして獲得した人材が組織内で活躍できるような「組織づくり」について、GRPIというフレームワークをご紹介いたします。GRPIモデルは以前にこちらのコラムでも取り上げていますが、今回はより具体的に説明をしていきたいと思います。

目次
    GRPIモデルとは
      人間関係の悪さはいじわるな職員のせい?訪問看護ステーションに起こりがちな問題
        人間関係のいざこざを防ぐ組織づくりは順番が大事!

        GRPIモデルとは

        GRPIモデルとは、組織開発のコンサルタントであり、MITで教鞭を執っていたリチャード・ベックハードが1972年に発表した論文で紹介されています。

        ベックハードによれば、良いチームでは『目的・目標(Goal)が明確』『役割(Roles)が明確』『段取り(Process)が明確』『人間関係(Interpersonal Relationship)が良好』の4つの条件が揃っているそうです。それぞれの英単語の頭文字をとって、GRPI(グリッピィ)モデルと呼ばれています。現在では、この4つの質問について考えることで組織やチームの状況がどのようになっているかの診断に活用されています。

        人間関係の悪さはいじわるな職員のせい?訪問看護ステーションに起こりがちな問題

        訪問看護ステーションで起こりがちな問題は、やはり人間関係の悪さに起因する様々な衝突や問題なのでは無いでしょうか。離職理由でも人間関係の悪さをあげられる方は多くいらっしゃるように感じます。せっかく採用した人材が人間関係の悪さによってすぐに離職してしまえば、また採用をしなくてはなりません。これでは、なかなか経営は安定しません。また、人間関係が悪いことによって職員間の情報共有がうまくいかなければ、利用者のケアにも問題が起こり、関係機関からの信頼を損なってしまうでしょう。

        こうなると、以前のコラムでもご説明した通り、業績の低下に繋がる悪い循環に陥ってしまう可能性があります。

        それでは、なぜこのように人間関係が悪くなってしまうのでしょうか。

        看護師は気が強いから、性格の悪い意地悪な職員がいるから、職員間に互いを尊重し思いやるような雰囲気がないから…等様々な理由を挙げられる方もいらっしゃいます。しかし、このような状態にある訪問看護ステーションでは、人が入れ変わっても常に人間関係が悪く、状況が全く改善しないということが往々にしてあります。

        人間関係のいざこざを防ぐ組織づくりは順番が大事!

        チーム内でいざこざが起こった時に、まずはその原因を人間関係の悪さに求めがちです。

        残り1310文字
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